エレクトーン・DTM講師の武井悟です。
ちょっと音楽にハマってくると、誰しも一度は「耳コピ」に挑戦するのではないでしょうか。
作曲の学習の一環としてだったり、自分で弾くためだったり、あるいは単に趣味としてだったりと目的は多々あると思います。
目的や目標精度によっても異なりますが、耳コピする中で特に難しいのが「コード」。
「コードの響きが近いけどなんかちがう…」
みたいな箇所に出会ったことはありませんか?
力技で聞き取りきれればよいのですが、知識がないために正しいコードがわからなかったり、存在するはずの構成音に気づかなかったりすることもあるかもしれません。
そんな「なんかちがう…」問題に出会ってしまったあなたに役立ててほしいと思いこのページを作りました。
このページを見て「もしかしたらこれか…?」と要素にあたりをつけて耳コピの精度アップ及び学習に役立てていただければと思います。
各コードや理論についてはすでにたくさんの解説が存在していますので、詳しい解説は別の書籍やウェブサイトにゆずります。
○基本コード編
3和音か4和音か
基本的な部分ですが、CとCM7、BmとBm7など7度の音があるかないかの差で響きの複雑さが微妙に変わります。3和音で鳴らして拙い響きだと感じたときは7度の音が抜けているのかもしれません。
C(上: 3和音)とCM7(下: 4和音)
Cm(上: 3和音)とCm7(下: 4和音)
オンコード(転回形、分数コード)
地味に頻出なのがオンコード。EmとC/Eなど、半音ちがうだけで意外と響きが変わります。
自分が聞き取った和音が暗すぎor明るすぎだと感じたらここが違う可能性があります。ベース=ルート音と思いこんでいるとハマりがちな罠です。
また転回形ではなく非和声音がベース音になっているケースも考えられます(後述のハイブリッドコード)。いわゆる「透明感のある曲」やフュージョンなどちょっと玄人好みの曲に多い印象です。
C/E(上)とEm(下)
dim, aug系の響きを含む和音
短三度を重ねて作るm7-5やディミニッシュコード(dim)、長三度を重ねて作るオーギュメントコード(aug)はそれぞれ独特の不安定な響きを作ります。
またオーギュメントの響きを含むmM7の和音も不安を煽るような強烈な個性を持っています。
マイナーメジャーでは説明がつかないような奇妙な響きはこれらの和音の可能性を疑ってみましょう。
上から順にCdim、Caug、CmM7
○コード理論発展編
テンションコード
7度よりさらに上、9,11,13度(テンションノート)を重ねて作る和音です。
4和音よりさらに複雑な響きを作ります。
特にVのコードの響きが薄っぺらいなと思ったらテンションの有無の差である場合が多いです。
C(上: テンションなし)とCadd9(下: ナチュラルテンションを含むコード)
C7(上: テンションなし)とC7b9(下: オルタードテンションを含むコード※5度は省略してます)
3度を含まない和音(omit3: ハイブリッドコード, パワーコードなど)
メジャーマイナーの響きを決定する3度の音が抜けている和音です。
力強さが感じられる曲では1,5度しか鳴っていなかったり(パワーコード)、透明感を感じさせる曲では3度の代わりに9,11度を使って明暗併せ持つような響きを作っている場合があります(ハイブリッドコード)。
自分の聞き取った音は明るい暗いがあけすけすぎると感じたときは3度の音が実は違う音だった…なんてことがあるかもしれません。
逆に耳コピ経験の少ない方の音源は3度の音が抜けているためにスカスカな響きになっていることもありますね。
C(上: 3和音)とComit3(下: いわゆるパワーコード)
Cadd9(上)と3度省略したもの(下)
4度体積
C,F,Bb…のような完全4度の積み重ねはエキゾチックで独特な響きを作ります。アジアンテイストの楽曲でよく聴く響きです。
C,F,Bbの3音4度体積
また次項のボイシングにも関連しますが、ジャズ系の曲ではテンションノートを4度体積の配置になっていることがよくあります。
テンションノートを4度感覚で配置したCadd9,13
ボイシング
同じ和音でも重ね方が変わると響きが変化します。個人的にM7thorテンションノートとトライアドの構成音が半音で配置されている特有の響きは強烈で、大きく雰囲気に影響します。
Cメジャーのクローズボイシング(上)とオープンボイシング(下)
Cm9の単純体積(上)と半音で並ぶように並び替えたもの(下)
そもそもコード感が希薄な曲もたくさんある
それぞれのパートがフリーダムに動いているような音源では場面ごとのコード感が希薄でコードを確定しずらい場合もあります。
そんなときは定番のコード進行を仮にあててみたり、メロディのスケールを手がかりにしてしっくりくる響きを探ってみましょう。
それぞれのコードの響きを感じ取ろう
以上、知っているといいかもしれないいくつかのコード理論についての紹介でした。
構成音の微妙な変化で響きが変わることを実感していただけたのではないでしょうか。
こうした知識を持った上で耳コピやコードを意識した楽曲試聴(または演奏)を重ねることで全体の響きからなんとなくコードが推測することができるようになります。
また作曲に際しても「ここはちょっと不安感を出したいからdimだな…」とか「ちょっと抜け感出るように3度抜いてみるか…」とかいった判断ができるようになってきます。
ぜひ3和音だけではないコードや構成音独特の響きを感覚を研ぎ澄ませて感じ取ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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