エレクトーン、鍵盤がもつ3つの「タッチ」

エレクトーン

こんにちは!オンラインエレクトーン講師の武井悟です。

この記事では、エレクトーンの3つの「タッチ」についてお話しします。

「タッチ」とは

鍵盤楽器の仲間であるエレクトーンは鍵盤を押さえれば音が鳴るわけですが、演奏により深みのある表現をつけるために3種類のセンサーがついています。そのセンサーを使った3種類の表現技法がそれぞれ「〇〇タッチ」という名前で呼ばれています。

こちらがその3つの名前↓

①イニシャルタッチ
②アフタータッチ
③ホリゾンタルタッチ

以下順番に説明します。

3つの「タッチ」について説明!

①イニシャルタッチ


一言で説明するなら「打鍵の強さ」。ピアノと同じ強弱の付け方です。
ピアノ、ギター、パーカッションなど主に減衰する楽器で表情をつけるときに意識されます。
このイニシャルタッチによる強弱がないと、変化のない平坦な演奏になってしまうので、上手な演奏を目指すならまず理解しなければならない項目です。

イニシャルタッチを用いたピアノ音色の演奏例。


音色によってはイニシャルタッチの強さによってアーティキュレーションが変化するものもあります。

こちらの動画はエレキギターの音色の演奏例です。親指で弾いている鍵盤の音が弱いイニシャルタッチによってミュート音に変化しています。

イニシャルタッチによるギターの音色変化の例。

②アフタータッチ

アフタータッチは「鍵盤を押し込む強さ」に反応するタッチです。
強く押し込むほど音が大きくなります。

ピアノとエレクトーンは同じ鍵盤楽器としてしばしば比較されがちですが、アフタータッチのようなピアノにはない鍵盤の使い方も、エレクトーンの特徴の一つです。

アフタータッチはバイオリンや管楽器など音が伸びる楽器の表現を豊かにするために使われます。
なくてはならないものと言い切っていいほどによく使われます。

アフタータッチによる音量変化の例。

鍵盤の構造がちがうのか、アフタータッチはモデルによって反応の感じがちがった覚えがあります。自分の中ではスタンダードモデルのアフタータッチは少しコントロールしにくい印象です。

また、エレクトーンではアフタータッチによって音量音色以外のコントロールを可能にする設定が2つあります。

アフターピッチ

この動画のように、アフタータッチによって音程になめらかな変化を与えることができます(アフターピッチと呼ばれることがあります)。かなりくせがある使いにくい奏法で、あまり使われることはありません。

下の動画では、管楽器を強く吹いたときのピッチのズレを意図的に与えるためにアフターピッチを使用しています。このようにピッチのずれは微細な変化でも印象がかわるので、上の動画のように派手に変化させることは滅多にありません。

アフターピッチを弱めに設定してトランペットのピッチズレを表現した例。

タッチビブラート

エレクトーンは、基本的に管楽器や弦楽器の音には自動的にビブラートがかかるようになっていますが、こだわりたい人のためにある程度ビブラートをコントロールする機能が備わっています。

その1つが「タッチビブラート」と呼ばれる機能。これはアフタータッチによってビブラートをかける機能です。
弱く鍵盤を触っているときはビブラートがかかりませんが、鍵盤を強く押し込むことでビブラートがかかった音に変化させることができます。

下の例ではシンセサイザーの音色でタッチビブラートを使用しています。

③ホリゾンタルタッチ

「水平」を意味する「ホリゾンタル(horizontal)」の名前がついた鍵盤の使い方で、押さえた鍵盤を横に(水平方向に)揺らすことで効果を得るものです(カスタムモデル以上で使用可能)。名前だけではなかなか想像がつかないかもしれません。

現状ホリゾンタルタッチには、ピッチを変更させる以外の使い道はありません。アフターピッチとちがって誤作動させにくいことから、効果音的な派手なピッチ変化にはホリゾンタルがよく使われる印象です。

ホリゾンタルタッチの真骨頂は繊細なビブラート表現。鍵盤を少しだけ「揺らして」音程を変化させることで、音源にあらかじめ設定されているよりもさらに繊細で複雑な音程表現が可能になります。

実はホリゾンタルタッチの水平方向への指の動きは、弦楽器のビブラートのかけるときの指の動きと同じなんです。なのでホリゾンタルタッチを効果的に使うことでギターやバイオリンなどの楽器により近い演奏ができるようになるんですね。
とはいえエレクトーンの鍵盤自体の微妙な反応の質感や実際の楽器の奏法に詳しくならなければ使いこなすのはかなり難しいので、この機能を使うのはかなりエレクトーンに慣れた人に限られるのではないでしょうか。

こちらの例ではホリゾンタルタッチによってエレキギターの音色にピッチ変化をつけています(少し大げさに揺らしてます)

足鍵盤もタッチに対応

ここまでの演奏例はすべて上鍵盤のみ使っていましたが、今まで説明した機能は上鍵盤と下鍵盤のどちらでも使えます。

また、ペダルもいくつかのタッチに対応しており、イニシャルタッチとアフタータッチを使うことができます(アフタータッチはカスタムモデル以上が対応)。

ペダルでの演奏はピアノにはないエレクトーンの大きな特徴なので、足鍵盤のタッチを意識できるようになれば、いよいよエレクトーン上級者の仲間入りです。

足鍵盤のイニシャルタッチとアフタータッチ。

3つのタッチでエレクトーンをもっと楽しもう!

以上、エレクトーンの鍵盤による演奏表現を広げる3つの「タッチ」の説明でした。

これらの機能があることを意識するだけでも演奏やアレンジの幅がグッと広がります。演奏の聞こえ方を大きく左右するシンプルかつ奥が深い「タッチ」、みなさんもぜひ意識してみてください。

近いうちに実際の演奏やレジスト作成の際に、音色のタッチ感度はどのくらいに設定するのがいいのかという、より具体的な数値についても記事を出したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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