詳細解説「ボイスエディット」第4回 ~「パン」と緻密なステレオイメージ~

エレクトーン

エレクトーン講師の武井悟です。

今回はボイスエディットページで扱える「パン」について、その利用方法を考えていきたいと思います。

各ボイスとボイスエディットのパンはなにがちがう?

「パン」といえば、上鍵盤1などの各ボイス群にもパンの設定があります。
点灯している音源のボタンを2回押すと表示されるボイスコンディション画面からパンの設定ができます。

各ボイスの設定ができるボイスコンディション画面にあるパン。

大きなちがいとして、

各ボイスのパンが左右3段階ずつなのに対し、ボイスエディットのパン設定は左右63段階もあること

・ボイスエディットでは各エレメントごとにパンの設定ができること

の2点があげられます。

より細かいパン設定

1つめの違い、「左右63段階の設定」があることの利点は想像がつきやすいのではないでしょうか。

例えばバイオリンにはL1とL2の間くらいで鳴ってほしいんだよなぁ~みたいなとき。
ボイス全体のパンはセンターのままボイスエディットからL30くらいの値に設定すれば、ちょうどそのくらいの位置になります。

…なるはずなんですが、自分の環境ではこのわずかな数値のちがいは体感できませんでした。
とにかく、厳密にパンを設定したいときにはこのボイスエディットのパンの設定がつかえる、ということを覚えておけばいいでしょう。

フルオーケストラや吹奏楽などの大編成の曲になってくると、この小さなちがいが大きな差を生み出すのかもしれません。

ステレオイメージを狭める

次に「各エレメントごとにパンの設定ができる」という点ですが、言葉どおりの活用方法の他に、ここでは「ステレオ幅」について考えてみたいと思います。

ステレオイメージ=左右の広がり

そもそもステレオとは

ステレオフォニック (stereophonic, 英語版ではstereophonic sound) の略語であり、左右2つのスピーカーで音声を再生する方式のこと

(ウィキペディアより。2023年2月18日閲覧)

だそうです。

つまり、左用と右用の2つ音が出る部分がある再生装置や再生方式のことですね。
エレクトーンも同様に「ステレオ」の音声出力をもっていて、今説明しているパンも、左右のスピーカーがそれぞれちがう音量で音色を再生することで実現しているんですね。

そしてこの左右それぞれ違う音を出して作られた横の広がりを「ステレオイメージ」なんて呼ぶことがあります。

パンがセンターでも実は「ステレオ」な音色

実はエレクトーンの音色は、ステレオの音色とステレオじゃない音色(モノラル)が混在しています。

例えばクラリネット1やバイオリン1など一人で弾いているような楽器の多くはステレオの広がりは感じません。
それに対してストリングス1やサックスアンサンブル2など、多人数での演奏を想定している音色は、パンがセンターの状態でも左右で違った音が聞こえているはずです。

このように各ボイスのパン「C(センター)」は厳密な意味でド真ん中ではないことがあります。

ボイスエディットで見てみる

ステレオ音色をボイスエディットで見てみるとどうなっているのでしょうか。
前回から引き続き「チェンバーストリングス3」のエレメントをボイスエディットで確認してみましょう。すると3つのエレメントでできていることがわかります。

チェンバーストリングス3のAWM1。パンL63に注目。

パンの部分を見ると「L63」となっていますね。
他のエレメントも確認すると、AWM2はR63、AWM3はCになっています。
それぞれCにして鍵盤を弾いてみると、左右の広がりは感じられません。

このように、もともとステレオ幅を持つ音色の多くが左用のエレメント、右用のエレメント、さらに場合によっては中心などより狭い位置のエレメントを使用して、豪華なステレオ音色を作っています

エレメントによるステレオイメージの調整

ということは、このステレオイメージを司っている各エレメントのパンを調整することで、幅を狭めたり、ちょっとだけ右に寄せたりということができそうです。

例えば「ピアノ」。
実はピアノもステレオな音源の1つです。
よく聞いてみると低い音は左側から、高い音は右側からのほうがよく聞こえるはずです。

ピアノもストリングスと同様に左右に割り振られたエレメントが存在しています。これをLRそれぞれ30くらいまで寄せてみると、若干窮屈な音になりました。

アンサンブルのなかで、ピアノが両側から聞こえてくるのは変だ!と思う人はこの方法でステレオ幅を狭めたり、左右どちらかの音を少しだけ真ん中に寄せてみたりすることで、より安定した定位を実現することができます。

エレメントのパンは最終兵器

ここまで長々とボイスエディットからパンを変更することでできることについて書いてきました。

ですが、自分で実際に積極的に使っているかと言われると、そういうわけではありません。
個人的にはここまでしなくてもいいかなと思っています。
あとは単純にまだまだ研究中で使い切れていないということもあったり…。

基本的には各ボイスの設定で3段階のパンは変更できるので、個人的にはここで十分であればここで済ませてしまうのがいいとおもいます。

その上でよりこだわりをもってステレオイメージを調整したいと思ったときには、ぜひボイスエディットページのパンを活用してみてください!

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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